八日目の蝉

予告編

―優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。―

キャッチコピーからすでに漂う重たい空気。作品自体も2時間半と長く、映像や音楽も邦画ならではの重厚感があると思う。

誘拐犯の母親さえいなければ、主人公の恵理菜(井上真央)は普通に幸せな人生を送っていたはずで、誘拐は当たり前に憎むべき犯罪なんだけど、なぜだろう。どんどん誘拐犯の母親に感情移入させられます。フィクションという前提がなければ最後まで観られなかったと思う。


「母性」というテーマを深く描いていて、本当にいろんなことを考えさせられます。特に女性は、心に訴えるものがあるんじゃないかなぁ。ネットのレビューを読んでみても、女性の意見にはいろいろありました。やっぱり、どの登場人物の立場で観るかによってとらえ方が変わるみたい。いずれにしても精神的にしんどいことに変わりはないですが。

一方で男性の意見の中には「よくわからない」っていう言葉や、「男が情けない」っていう言葉もあって(笑)、男女でここまで変わるのか!と少しびっくりもしましたね。男性の抱く父性と、女性の母性とは根本的に違うものなんだろうなぁと思ったり。

永作博美、井上真央、小池栄子の演技も良かったです。特に永作さんの演技には胸をえぐられるような思いがしました。


この映画、公開は2011年だけど、実は最近まで観ていなかったんです。

第35回日本アカデミー賞で数々の賞を総なめにした良作で、原作も大好きな角田光代さんなんだけど、観賞後にどんより重い空気になることが予想されたので後回し後回しにしてました。映画とかの影響を受けやすいので(笑)

でも高校生だった2011年よりも、今観て良かった気もします。母の愛情とか、当時は全く分かっていなかったから。今は幼いころよりももっとお母さんが恋しく感じることもあって、この映画を観たら早く実家に帰りたくてしかたなくなりました…(笑)

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