デート服とスターバックス
去年の夏、悩みに悩んで買った一枚のワンピースがあった。カーキ色の、ノースリーブでミニ丈のワンピース。
ワンピースって女っぷりを上げるお洋服だし、着るだけでちょっとフォーマルな雰囲気になる気がする。だから、このワンピースも特別な日に着ようと心に決めていた。
そう、女っぷりを上げなければならないような、特別な日。素敵な殿方とのデートの日にこれを着て、「可愛いワンピースだね。似合ってるよ。」なーんて言ってもらっちゃったりして。(←ここ、ツッコミどころですよ!)
しかしそんな私の妄想とはうらはらに、このワンピースは一夏をタンスの中で過ごすことになった。当時20歳の私は「来年こそはこのワンピを着てデートに行く!」と心を新たにしたのだけど、悲しいかな、歴史は繰り返されるさだめにあるのだ。21歳の夏も、私のスケジュール帳にはデートの予定など入っていなかった。
このままでは永遠にタンスの肥やしになってしまう!という危機感から、ついに一大決心をした。もうデートじゃなくてもいい。高いお金を払って買ったワンピースだ。女子会にでもショッピングにでも着て行こう。誰も褒めてくれなくてもこのワンピを着倒してやる!と。
そして今日、ワンピースはついにタンスを卒業し普段着デビュー。想像していた華々しいデビューとは違うけれど、いいのだ。しょせんファッションは自己満足なのだから。と、鏡の前で自分を納得させて家を出たのだが、用事の帰りに立ち寄ったスターバックスで思いがけず嬉しい出来事があった。
「スターバックスラテのトールと、オレンジシブーストをください。」
私はレジのカウンターで注文を済ませていた。店員さんはいつも通りの爽やかな接客で、てきぱきと注文をレジに入力していく。が、ふと手を止めて私の服を見て言ったのだった。
「素敵なワンピースですね。色もとてもキレイで、お客様によくお似合いです。」
もちろん、これはよくできた店員さんが気を利かせて言ってくれた社交辞令だろう。彼にとっては接客中の、小さな出来事に過ぎないのかもしれない。
けれど私にとってはとても嬉しい一言だったのだ。デビューはデートじゃないし、一年も寝かせた後だったけど…ワンピースも、これでようやく報われるというものである。
こんなことを言ったらお前と一緒にするなと怒号が飛んできそうだが、女の子って案外単純な生き物だ。ちょっと変えた髪型やメイク、いつもより背伸びしたファッション。それを誰かに「いいね。」って言ってもらえただけで一日中ハッピーでいられるし、もともと美味しいコーヒーやケーキだって、より一層美味しく感じられてしまう。それぐらい、その一言にはパワーがあるのだ。
スターバックスには接客のマニュアルが無いと聞く。それであれだけよくできた店員さんがいるのだから、本当にすごい。美味しいコーヒーとケーキにオシャレな空間。そこに感じのいい店員さんなんて、鬼に金棒ってやつだ。(スタバの回し者ではありません。笑)
これだから、スタバはやめられない。ワンピースのデビューを飾ってくれた店員さん、本当にありがとう♡
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